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【書籍】『新版 魔のヴァイオリン』(佐々木庸一著 音楽之友社)

2012/10/06(土) 00:28:36

「涙に濡れたアマティ」、「にせ物作りの名人たち」、「奏き込めばいい音が出る」、「ストラディヴァリの値段は有名税」・・・等、各章に付けられた見出しが、ヴァイオリン好きの読書意欲をかき立てる。

ヴァイオリンに関する興味深い逸話が満載の、30年前に初版が出た書籍の復刻新版。著者は、「ヴァイオリンの魅力と謎」や、カール・フレッシュの「ヴァイオリン演奏の技法」の翻訳(いずれも絶版)等で知られる佐々木庸一氏である。

クレモナの展示会に出品されたストラドがほとんど偽物であった話や、フーベルマンが楽器を二度盗まれた話、製作家のヴィヨームや楽器商のタリシオが掘り出し物で大儲けした話等々、出典は示されないが、昔話物語風の語り口に乗って、名器や演奏家、楽器商にまつわるエピソードが次々と登場する。

本書のタイトルとなった「魔のヴァイオリン」、ガスパロ・ダ・サロ作の「チェリーニのヴァイオリン」(ペグには天使が、テールピースには悪魔が彫刻されている)に関する逸話も紹介されている。

ところで、本書には、様々な名器の値段が出てくる。ストラド、グァルネリ、ベルゴンツィ、グァダニーニ、ガリアーノ、ストリオーニ、チェルーティ、プレッセンダ、ロッカ・・・ 〇〇〇万円以上という書き方をしているものが多いのだが、この下限の値段設定が、2012年現在から見ると、「ええ!?」と思う水準である。

30年前、1980年の前半くらいは、そんな値段で買えたのかと思ってしまうが(勿論、普通の感覚ではそれでも十分高いのではあるが)、本書を復刻するにあたって、楽器の値段の新旧対応表でも付けて頂いていたら、より一層「ああ、昔は良かったな感」が楽しめたであろう。

ついでに言えば、本書の続編と言える1987年刊行の『ヴァイオリンの魅力と謎』には、演奏家や指導者に関する逸話や、重要な奏法に関する話等が綴られているが、その巻末に、10数ページに渡ってヴァイオリンの価格表が付されている。

立ち読みは、こちらへ。

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